TOP > 世界食レポート UK

Potency  Network「世界とつながろう!」

みなさま、こんにちは。

激動のイギリスで、ニュースを食い入るように見る毎日を送っております。

2016年6月の国民投票から2年9カ月、ずっとすったもんだしてきたイギリスですが、いよいよ3月29日(イギリス時間午後11時)にEU離脱(ブレグジット)をする…予定“でした”。

“でした”と書いたのは、ご存知の方も多いかもしれませんが、ここにきてEU離脱は3月29日ではなく、最短でも4月12日まで延長されることが確実になったからです。

延期になった理由は「離脱協定がイギリス議会で可決しなかったから」です。ずっと混迷混乱は続いていましたがいよいよ時間切れ間近となり、イギリスはEU側に離脱の延期をお願いました。そしてEU側が「まずは短い延期」に合意にしたのです。

そう発表されたのは3月21日深夜。離脱予定日の8日前。何もかも土壇場です。

しかしいまだに
*協定案は可決されるのか?
*4月12日に離脱するのか?
*離脱がさらに延期になるのか?
*離脱をキャンセルってこともありえるのか?

…何もわかっていません。

2年以上かけてもEU離脱の協定案がイギリス議会で採決されないため、このままでは協定なしの離脱(ノーディール・ブレグジット)になってしまいます。「それはマズイ!」というジタバタ劇場が展開され、日、1日と状況が変わっています。

ワタクシは10年以上に渡りイギリスに住んでいるので永住権は持っていますが市民権は持っていません。つまりイギリス人ではないので選挙はできません。

ですがイギリスに住む者として、今後は大変不安です。

離脱するの?
延期するの?
離脱もうやめてよ!
イギリス、どうするの?

本気で叫んでいるこの頃です。毎日ニュースにかぶりつき、状況を必死に追いかけています。

<これまでのまとめ>

2016年6月に行われた国民投票で「EU離脱」が決まってから3年弱。2019年3月29日の離脱日が決まってから2年。この間イギリス議会ではごく最近までずっと離脱の「是非」が問われてきました。

「是非」と言っても、もう離脱は決まっているんです。なのにずっと「是非」が話し合われているぐらいなので、イギリス全体、国民レベルで離脱の準備ができていたのではなく、つまり機は全く熟していなかったわけです(と、私は思っています)。

今回の現状を見て「国民投票を軽はずみにやってはいけないのだ」と、心の底から思いました。

イギリスの首相テリーザ・メイ(保守党)はもともとは「EU残留(支持)派」の政治家でした。国民投票はキャメロン前首相(EU残留派)政権下で行われたのですが、キャメロンは残留派が多数だと思って国民投票をやってしまったのに「離脱支持」が過半数を超え、離脱が決まったのです。国民投票後、キャメロンは辞職・政界を引退しました。

困難な船出が分かったうえでメイは首相に就任しました。残留派なのに離脱を指揮しなくてはならない立場となり、離脱協定案をEU側とずっと話し合ってきました。

<今ココ!>

メイ首相がEU側とやっとこさまとめた離脱協定案はすでに2度イギリス議会で否決されています。この協定案がイギリス議会で可決しないと「ノーディール(協定なしの)・ブレグジット(EU離脱)」になってしまいます。

「離脱だ、離脱だ、ワッショイ、ワッショイ」と喜んでいた離脱支持(≒右派)の人々でさえ、「えっと…ノーディールになったら困る…かも…(汗)」と青い顔になってきました。

何の取り決めもなくEUを離脱してしまうと、統一市場・関税同盟からも抜け、欧州内の移動の自由(EU加盟国内を自由に行き来し、居住・就労が可能)もなくなります。関税同盟から抜けると、EUとの貿易にすべて関税がかかります。必然的にモノの値段は上昇します。

このニュース↓は日本でも報道されたと思います。

何故イギリスからホンダが出ていくかというと、イギリスで生産&輸出しても、離脱後に関税がかかって高額になる車をEUの人は誰も買ってくれないからです。

3月12日に2度目の協定案否決、しかし13日に「ノーディールでのEU離脱を回避する」動議はは賛成多数で可決。14日には「離脱延期」を賛成多数で可決。

紆余曲折あってイギリス側は勝手に「離脱延期」を決めました。しかしEU側が許可してくれないと勝手に延期はできません。そこでメイ首相はEUに延期のお願いをしたのですが、EU側は「協定案の再交渉はいたしません」という条件のもと、

*協定案がどうであれ、4月12日までの延期はいいでしょう。
*来週(3/25~の週)に協定案を可決させたら、5月22日までの延長も許可します

と決定しました。つまり「ノーディールにしたくなかったら、待ってあげるから来週(25日~の週)協定案を可決しなさい」という大難問の宿題を付けた上で、短い延期を許可したのです。

これまで2度否決されている協定案。「動議内容に大きな違いがなければ、3度目の採決はない」とバーコウ下院議長が決めたばかりですが、国が路頭に迷う土壇場なのでルールがどうあれ、道筋を決めねばなりません。

本日25日から議会がどう動き、どう決めるかが正念場です。

しかしトゥスク欧州理事会議長は「(4/12までは)全ての可能性が残っている。イギリスは協定ありの離脱も、合意なしブレグジットも、より長い離脱延期も、離脱撤回も選べる」とも言っており、協定案が可決しなくても、5月末に予定されている欧州議会選挙にイギリスが候補者を出す等、何らかの方針を示せば長期の離脱延期も可能?と取れる発言をしています。

ますます分からない…(涙)。

新聞やニュースで勉強する限り、

*離脱キャンセル
*再度国民投票
*もっと長い延期の可能性は?
*総選挙!?(←そんなこと、今してる場合!?と突っ込みたくなりますが)
等々、現在いろんなオプションが羅列されていますが、全部が全部、実現可能な選択肢ではない気がします。

しかし「土壇場で何とかする」のはイギリス、結構得意です。

この一週間であっという間に想定外の方向に行く可能性もあります。最後の最後までどうなるのか予測がつきません。

<イギリスの「食」はどうなる?>

もしノーディールでの離脱になると、イギリスの食品はほぼ確実に「ガン!」と値上がりします。

理由は、現在イギリスは約30%の食品をEU諸国から輸入していますが、今後は(北アイルランド経由以外)に関税がかかるからです。そして今後は輸入する場合、港での検査・手続きが必要になるため(非関税障壁)、そのコストも食品に上乗せされます。

加え、EU離脱によりイギリス・ポンド(通貨)はガーンと下がるでしょう。輸入品をこれまで通りに潤沢に買うことができるのか? 不安です。

もし「協定案」が可決し、ノーディールを避け「ひとまずEU離脱延期」となった場合、延期期間中、および最長2年の「移行期間中」はこれまでと同じように単一市場・関税同盟を維持するので、当分は何も変わらず、です。その間に良い方法を探ることが可能になります。

外食産業にもEU離脱は大きな影響を与えます。この件は2017年5月の記事に書いたとおりですが、ノーディールであれば移行期間もないので、EU出身者は自由に労働することができなくなります。イギリスの外食産業はEU人たちで支えられています。彼らが職を失うことも、彼らが去っていくことも、どちらも大問題です。

これまでイギリスは「英語圏であること」を生かし、美味しいものをイギリスに集めることに成功してきました。EU圏の美味しいものは首都ロンドンに集まり、たくさんの食やお酒の見本市が開かれ、世界中からバイヤーが商談に来ています。そうやってロンドンは「何を食べてもマズイ街」から「世界中の食が集まる街」に変容してきたのです。


↑美味しいデンマーク料理のお店「Snap & Rye」のタルタルステーキ。食材の多くをデンマークから輸入しているこのお店。お手ごろな値段で美味しい料理、もう食べられないの!?(涙)

===

EUにいることの不利益もあるのでしょう。でも私の目には「EU」という壮大な実験から、イギリスは多くのものを手に入れ、育て、自分のものにしてきたように写るのです。

それを手放してしまっていいんだろうか?

さあ、どうするイギリス?
どうなる、イギリス?

来月にはいろんなことがもう少し分かっているはずです。
固唾を飲んで見守ります。

===
Top画像 by slon_dot_pics

writer
お問い合わせ
農業生産法人株式会社クックソニア
農業生産法人株式会社クックソニア
農業生産法人株式会社クックソニア
農業生産法人株式会社クックソニア
沖縄畑人くらぶ
サレルノアンテナショップ

  • マルシェでおいしさ発見
  • つたえたい、料理から
  • オンナの可能性
  • 支援活動
  • 畑と大地のできごと