TOP >世界とつながろう「海外 食レポート」

Potency  Network「世界とつながろう!」

皆さん、こんにちは~。ロンドンのハナコです。


今回はレシピから少し離れて、ロンドンのリアルな食情報をお届けします。

実は1年ほど前から、ロンドンは空前の「ラーメン」ブームなんです。

ロンドンでラーメン?

イメージが沸きづらいと思います。でもある程度まとまった人数の日本人が滞在している街であれば、定期的にラーメン食べたい!と思う人がまとまっているということなんです。それが証拠に、フランスにもドイツにもNYにもラーメン屋さんは複数存在しています。

今までロンドンにラーメン屋さんがなかったわけではありません。でも「本格ラーメン」というには正直少し戸惑う感じの、あくまで「ロンドンだからこのへんでOKです」的ラーメン屋さんでした。


↑日本に到着してすぐ食べたいので、美味しいラーメン屋さんが成田空港に入ってほしいと切に願います…。


日本食レストランでもラーメンを置いているお店はありますが、これも同じ感じでした。美味しいけれど、「まあまあ美味しいね」的な味。日本食料品店で売っている冷凍の生ラーメンを自宅で茹でるよりはスープをちゃんと使っている分美味しいかな…そんな程度でした。

しかし昨年3月に「麺屋一点張(めんやいってんばり)」というラーメン専門店が出来て以来、続々と強気にラーメンの美味しさを押し出すお店が出てきました。現在5店舗がロンドンのSoho地区で激戦を繰り広げており、しかも全店好調です。

*「三越ラーメンバー」(ロンドン三越閉店により9月まで営業)の移転先となる「SASUKE」(2014年1月開店予定)
www.sasukelondon.co.uk

*麺屋一点張
http://ittenbari.co.uk/

*Born Daddies
「Nobu」の元ヘッドシェフRoss Shonhan氏が経営するとんこつラーメンが売りのお店。
http://bonedaddiesramen.com/

*SHORYU
http://www.shoryuramen.com/

*TONKOTSU
http://www.tonkotsu.co.uk/

このブームに追従し、日本食レストランでもメニューを改定し、今までとは異なる本格派のラーメンを開発して出し始めています。

「何故今、ロンドンでラーメン?!」
「イギリスでラーメンって受けいれられるものなの?!」

いろんな疑問がわきますが、この辺の答えをぜーんぶ答えてくれるロンドン在住の津村由紀子さんにインタビューしてきました。

津村さんはロンドン・ラーメンブームの先駆けとなった「麺屋一点張」の立ち上げメンバーのひとり。その後ロンドン三越からの依頼で、三越レストラン内の『三越ラーメンバー』を監修し、現在はロンドン三越閉店に伴って移転する新店舗「SASUKE」(来年1月開店予定)の立ち上げに取り組んでいますが、津村さんはこの3店舗に携わってきた、まさに「ロンドンラーメン黎明期の全てを見てきたオンナ」なのです。

<津村由紀子さんプロフィール>
北海道出身。2002年前に来英。翻訳・通訳コーディネート会社に勤務し、ラーメンとは無縁の会社員生活を送っていました。しかし「いつかフードビジネスをやりたい!」という夢を持っていた社長の決意により、「麺屋一点張」の立ち上げに参画。社長の右腕として働いていた津村さんは自動的に「ラーメン店立ち上げ担当」に。以後、3店舗の立ち上げに携わっています。管理業務のみならず人手が足りない時はお店にも出てマメマメしく働き、お店スタッフみんなのお姉さん的存在です。

↑ワタクシはお店での客さばきの見事さ、スタッフをちゃきちゃきまとめる姿に惚れてしまい、彼女を「由紀子ママ」と呼んでおります♥。

たくさんのお話しを伺ったのですが、ここでは「ロンドンでラーメンを提供すること」に焦点を絞ってご紹介します。

Q: 現在のロンドン・ラーメンブームはどうやって始まったのですか?何故今ロンドンでラーメンがブームなのでしょうか?

津村さんA様々な説があるようですが、大きなきっかけとなったのは2012年3月の「麺屋一点張」の成功だと思います。弊社は2011年末からこの立ち上げに携わっていますが、今同じSoho地区にある他の店舗のほとんどが「麺屋一点張」開店後に開店したお店だと思います。2012年から2013年に掛けて続々と店舗が増え、そして今後まだ増えてゆくと思います。また日本食レストランのラーメンもどんどん美味しくなってきています。ラーメンがこの地で受け入れられることを目に見える形で「麺屋一点張」が証明したことが大きいと思いますよ。

Q: 「ラーメン」はイギリス人に受け入れられるものなのでしょうか?お客さんはほとんど日本人なのですか?それともイギリス人に合った味にしているのですか?


津村さんAロンドンでお店をやる以上、日本人だけを相手にしていては絶対に成り立ちません。ここに住むローカルの人達ももちろんターゲットです。

出典はわからないのですが、日本にいる外国人に好きなラーメンを聞くと「1位:とんこつ、2位:味噌 3位:しょうゆ」なのだそうです。

「麺屋一点張」は日本の塩ラーメン専門店「龍旗信」(大阪・堺市)さんとのコラボで、レシピを提供していただいたお店です。でもロンドンでは塩ラーメンだけでは難しいと考え、検討を重ねた結果味噌、醤油も出すことになりました。イギリスでも「UMAMI(旨味)」という言葉が料理業界では使われるなど、日本の出汁から出る繊細な味が評価されてきていますが、まだ一般レベルで深い旨味の美味しさで食べる塩ラーメンが浸透するのは難しいと思ったんです。日本的な美味しさはもちろんキープしつつも、ロンドン・ローカル人にも受け入れやすいよう、味やコクが瞬時に味わえる事が大事。そういう意味ではローカルの嗜好も意識しています。


↑三越ラーメンバーの店内。カウンターもテーブル席もあり。ひとりでもふらっと立ち寄れる雰囲気がGood!

「三越ラーメンバー」開店に際しては、日本人も大好き、そしてイギリス人にも受け入れやすい味噌ラーメンをメインに考えたのも同じ理由からです。


↑味噌ラーメン。コクのあるスープが麺に絡む。

これまで2店舗(「Sasuke」は2014年1月開店予定)を見てきて、お客様比は日本人4:ローカル6の割合です。ローカルというと、日本人的には白人のイギリス人を思い浮かべがちですが、イギリス、特にロンドンは多文化・多民族共存の地。麺の美味しさを知っている中国系の人達もたくさん住んでおり、そういった方も含めた日本人以外の人達を全部「ローカル」と括るとこの割合になります。つまり日本人以外のお客さんのほうが多いですし、寿司や日本食を受け入れているいわゆる(アングロサクソンの)イギリス人にもラーメンの美味しさは必ず伝わってゆくと考えています。

Q: ロンドンでラーメンを提供することの難しさは何ですか?

津村さんA難しい事だらけなんですが(笑)。「三越ラーメンバー」からレシピ作りにも関わりましたが、例えば麺を作る小麦粉がイギリスのものと日本のものでは違うんですね。同じ作り方をしてもイギリスで流通している小麦粉では日本のようなシコっと美味しい麺に仕上がらない。

日本から小麦粉を輸入して自家製麺にすることも検討したのですが、こちらにはパスタ用製麺機しかないので日本から製麺機を輸入すると莫大なコストが掛ることが判明しました。様々な小麦粉を試し、試食を繰り返し、現在は日本と同じ小麦粉を使って製麺している海外の製麺所から麺を輸入しています。

スープの材料も苦労しました。日本では簡単に手に入る乾物等の材料はここにはありません。イギリスで手に入るものと輸入するしかないものを検討して材料を集めました。


↑麺と言えばパスタしか茹でないイギリス人。深いザルをスーパーで見かけたことはありません。

それから機材も大変でした。麺を1玉ずつ茹でるための麺ゆで機がないので特注で作りました。麺のザル(テボ)は一応あったのですが深型がなかったので日本からより寄せし、どんぶりや食器類も日本で手配しました。スープを作るための寸胴鍋はフランスから輸入しました。


↑こちらの鍋もお取り寄せ。

Q:オープンしてみて何か想定外だったことや日本のラーメン屋さんにはない発見はありましたか?

津村さんAいろいろありましたよ。例えばローカルのイギリス人というかヨーロッパ人は食事をコースとして食べたいんですよね。ラーメンだけ頼んでぱぱっと食べるとか、ラーメンと餃子を一緒に食べるというより、まずは「スターター」として餃子やから揚げを食べてビールを飲む。そのあと「メイン」としてラーメンをオーダーというスタイルなんです。

つまりヨーロッパ人は往々にして長居なんです。グループだと食事が終わるまで3時間くらい掛ります。ラーメンは単価の高い食べ物ではないので回転率の悪さは問題なのですが、でもお酒をたくさん飲んでくれたりおつまみをたくさん注文してくれたりの良さもあります。

これもどこかの雑誌で読んだのですが、最近日本で「ゆっくりできるカフェ」が最終的には利益を生んでいるのだそうです。回転率は悪いけれど、ゆっくりできて居心地が良い。だからお客さんがずっと支持してくれる。ヨーロッパで商売をする場合、こちらの「ゆっくり食事」の文化は壊せないので、来年1月に開店する新店舗「SASUKE」ではゆっくりできる店内作り、そしてラーメン以外のおつまみにも力を入れています。


↑三越ラーメンバー「つけめん」。ロンドンでも美味しいつけ麺が食べられる!と在英邦人は本当に喜びました…感涙。


Q: 2店舗での経験を生かし、来年1月にオープンする3店舗目の「SASUKE」で何か新たに仕掛けている事はありますか?


津村さんAずっと出したかったベジタリアン用のラーメンを今開発中です。この国にはベジタリアンが多いので、レストランに行くと必ずベジタリアン用のメニューが用意されていますよね。動物性の出汁を使うのが基本のラーメンでベジタリアン用を作るのはコクの部分で大変難しいのですが、今ほぼ最終のものが出来上がっています。とても美味しくできていますよ。

それから次の店舗は「ラーメン店」というより「ラーメン&カレー店」になる予定です。日本のカレーは絶対ローカルの人が好む味ですので(筆者注:インドカレーが国民食として根付いているイギリス。日本式カレーもイギリス人に出すと必ず喜ばれる味なことを、こちらに在住していると経験的に皆知っています)、打ちだしたいものの1つだったんです。それが次の店では実現します。

Q: このサイトを見てくださる方で日本の食べ物を海外に売り出したいという方がいらっしゃると思います。何かアドバイスはありますか?

津村さんA日本に当たり前のものがないのが海外の環境。障害を1つ抜けるとまた次に障害があり、の連続です。それを1つ1つ解決し、代用品や打開策を考えて解決して開店までにこぎつけました。この1つ1つの問題解決の作業を「面白い!」と思えないと、海外で日本食を提供するビジネスは難しいと思います。私は新しい発見を本当に楽しめているので、大変ですがやりがいを感じていますよ!

日本食はすでに海外で有名ですが、まだまだ紹介していない美味しいもので海外の人達にも絶対好まれるものはたくさんあると思います。大変ですがポテンシャルの高い仕事です。何より日本の文化を伝えているという喜びがあります。挑戦しようと思っている方はぜひ頑張ってほしいです!

<出張前の大変忙しい時にインタビューの時間を下さった津村さん。本当に有難うございました!>

====*====*====*====*====

スーパーでお寿司が売られているイギリスでも絶対に手を出さない、保守的な層もたくさんいます。しかし日本食はヘルシーで美味しい…これは外国の食べ物に興味のある人なら皆知ってます。

よく見渡すと、ラーメンやカレーといった「料理」に始まり、「醤油」(これもどのスーパーでも売られています)等の調味料、「ジャパニーズキャベツ」と呼ばれる日本的な柔らかい生食に向くキャベツ(元来のイギリスのキャベツは生食に向かない堅いホワイト・キャベツ)や「シイタケマッシュルーム」と呼ばれる椎茸等の素材、「WAGYU(和牛)」「UMAMI(旨味)」といった言葉等、日本の食べ物まわりの事が実は幅広く浸透しつつあります。「日本食」は様々な形で海外にその領域を広げているのです。

今回津村さんにお話しを伺い、難しさや障害は多々ありますが、例えば調理法や調理器具なども含め、幅広い分野での「日本のたべもの関係いろいろ」が海外に出てゆくチャンスはまだまだたくさんあるように思いました。

この辺の日本の食べ物ポテンシャルについては、今後もイギリスから観察を続けてゆきたいと思います。「こんなことが知りたい!」など、ご要望や質問等ありましたらポテンシィ までご連絡いただけましたら幸いです!
ポテンシィ email: info@potency.jp
==

この数カ月、ずっと「暑い暑い」と言い続けてきましたが、やっとロンドンも冬の兆しです。日に日に気温が下がっています。ハロウィンが終わるといよいよクリスマスシーズン突入です。

今年は寒~いロンドンであっつあつのラーメンを美味しくいただきます!

ではまた、来月までお元気で~!

こんにちは!ポテンシィです
事例紹介とご依頼のステップ
会社概要
お問い合わせ
美と力

農業生産法人株式会社クックソニア
沖縄畑人くらぶ
サレルノアンテナショップ

  • マルシェでおいしさ発見
  • つたえたい、料理から
  • オンナの可能性
  • 支援活動
  • 畑と大地のできごと